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カテゴリ:2020冬
書評『子どもへの視角 新しい子ども社会研究』
本学会誌「こども環境学研究」の巻頭対談で五十嵐隆会長と「子ども〜若者への移行期」について議論した元森絵里子さんの最新刊である。編者としてこの本全体の構成を解説する序章では、1990年代から2000年代前半にかけて設立された「学際学会」の例として「こども環境学会」にも言及されている。意欲的で、独特の視点を持った9つの章は、「現代の子ども研究で問われている視覚」「新たな視覚を必要とする現実」「子どもをめぐる歴史の重層」の3つのパートに分けられている。「学校の怪談」「子どもを見守る防犯パトロール」「児童養護施設」「児童自立支援施設」「戦災孤児」といった「新たな子どもへの視覚を展望するための見取り図を示す」(序章p19)研究が並んでおり、目次を開くと興味関心のある章から読みたくなる。防犯パトロール(4章)は「大人のための活動ではないか」や「子どもの監視である」という批判にさらされているというが、子どものためでもあり地域づくりでもあるという不可分な事柄ととらえられている。「18歳問題」を副題とする6章では、主体性や自立の強調が「人はみな誰かに依存しなければ生きていけない」という事実を覆い隠すのではないかと指摘している。二項対立的にとらえない視点、柔軟に多様に考えていく態度、子どもとその周囲の関係性に焦点を当てた理解といった観点の重要性が述べられている。身近な話題に関わる、新しい視点からの事例研究として、自身の関心に引き付けて読むことができた。
(昭和薬科大学 吉永真理)
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タイトル 子どもへの視角 新しい子ども社会研究
著者 元森絵里子,南出和余,高橋靖幸 編
価格 2,600円(税別)
出版社 新曜社
ISBN 978-4788516670
発行年 2020年2月20日
サイズ(書籍の大きさ) A5/208p
リンクURL https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b497740.html