ブック&シネマレビュー

映画『モンテッソーリ 子どもの家』

モンテッソーリ子どもの家

 

 いくつかの全国紙でフランス映画『モンテッソーリ 子どもの家』が紹介されていた。興味を持ったので、新宿ピカデリーに出かけた。新宿に行くのは久しぶりだったので、新宿ピカデリーがシネマコンプレックスに変わっていたのに驚く。東京は緊急事態宣言下で、入場制限があり、観客はとても少なかったが、久しぶりに映画を観て楽しかった。

 映画の舞台はフランス最古のモンテッソーリスクール。監督が子どもを授かったのを機に、こどもの成長や教育に興味を持ち、映画をとることを決めたと述べている。冒頭、この映画を撮るきっかけとなった娘の映像が紹介されている。

 映画はほぼ全編28人のこども達の教室でのあそびと学びの様子を映している。モンテッソーリスクールの教具を使った活動をこのように2時間にわたって観るというのは貴重な体験だ。建築家として見ると、室や園庭の構成に特別な工夫があるとは思えなかったが、保育室の壁に整理された教具と、その構成はとても興味をひかれた。保育士はこどもの自立的な活動を支えるサポーターに徹している。そういう意味ではモンテッソーリの教具という環境装置も、日常的な家庭での仕事を中心に展開されているところが、十分控えめである。モンテッソーリスクールはヨーロッパ、アメリカ、日本において数多く展開されている。こどもの気づき、発見を基本としている。環境整備というところを見直すにはきわめて良い映画である。モンテッソーリスクールの建築的分析では2018年度こども環境・論文・著作賞を受賞した高橋節子(お茶の水女子大学)さんの「幼児教育のための空間デザイン モンテッソーリ教育における建築・設備・家具・道具」をぜひ読みなおしてみたいと思った。

(東京工業大学名誉教授 仙田 満)

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タイトル モンテッソーリ 子どもの家

原題 Le maître est l’enfant 英題LET THE CHILD BE THE GUIDE

監督 Alexandre Mourot (アレクサンドル・ムロ)

提供・配給 スターサンズ、イオンエンターテイメント

撮影年 2017年(日本公開2021年2月)

リンクURL  https://montessori-movie.jp/