特集記事

不登校問題についての一考察

自分を発見できる豊かな時期として過ごせる環境・仕組みづくりを

|不登校|発達障害|多様性|親の会|

 

つくば子どもと教育相談センター 代表 穂積妙子

はじめに
 不登校問題を考える上で、我が国での不登校問題の歴史を知ることは大切です。1950年代から医学界では不登校(当時は学校恐怖症と呼ばれた)に関する論文があります。ここでは不登校の歴史と不登校への行政や学校の対応を述べ、また現在不登校児を持つ家庭の保護者が抱えている困難や悩みなどに言及したいと考えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真1 靴下人形(小学校高学年女児が作成)

 

1. 不登校の歴史と、行政・学校の対応
 はじめに、でも述べましたが不登校に関する論文は1950年代に精神分析理論を採用していた医師たちによって書かれています。ここでは不登校という言葉ではなく「学校恐怖症」と呼ばれ、精神疾患という扱いです。原因は家庭環境―母子密着や過保護と父親の無関心、とされていました。治療は母子分離をするための子どもの入院治療が推奨され千葉県の国府台病院が拠点病院でした。院内学級が設置され、子ども達の教育環境は保証されていました。1980年代になると学校に校内暴力や非行の嵐が吹き荒れ、そのため学校の管理体制が強固になり、恐怖や不安あるいは学校に対する反発で登校できない(しない)児童生徒が増加しました。この時期は不登校学校原因説が主流になり「登校拒否」と称された時代です。
 1992年文部省(当時)は「特別な子どもが不登校になるわけではなく、どの子でも不登校になりうる」という内容の通達を発表、不登校理解へのコペルニクス的転換と言われました。文部省は不登校生徒が多い中学校にスクールカウンセラー派遣を始め、その後小学校、高等学校にも派遣を広げました。しかし学校ではスクールカウンセラーとの連携の方法が確立しておらず、カウンセラー任せの状態を生みました。
 2000年前後からは発達障害を持つ児童生徒の不登校事例が増えてきました。教育現場では発達障害の理解が進んでおらず混乱がありました。2005年発達障害者支援法が制定され発達障害の認知が進むようになりました。教育現場では2007年に特別支援教育が始まりましたが個々に多様性を持つ子ども達に十分対応できず、また支援内容の地域格差もあります。現在不登校児童生徒に占める発達障害圏の児童生徒の割合は30パーセントから60パーセント以上と研究者により大きく数値が異なる状況です。2016年に教育機会確保法が制定され、不登校の児童生徒に学校以外での教育の機会を保障する制度ができましたが、財政的な支援が不十分で学校外のフリースクールなどの整備は進んでいません。

 

 

2. 不登校になる要因
 児童生徒が不登校になる原因は、1つのものではなく複合的なものと思われます。
 原因を調べるため、文科省の調査(※1)や民間(NHKなど)の調査(※2)がされていますが、結果には相当な違いがあります。教員が回答した2018年度の文科省の調査では、小学生では家庭に関わる状況が1位、不安が2位、無気力が3位、友人関係(いじめを除く)が4位、学業不振が5位です。中学生では不安が1位、家庭に関わる状況が2位、友人関係(いじめを除く)が3位、無気力が4位、学業不振が5位で、小・中学校共、いじめは下位(1%未満)でしかありません(※1)。

 一方、子どもが回答したNHKの調査では学校の先生との関係やいじめが上位(共に20%以上)に挙がってきています。学校の決まりや校則に馴染めない、という理由も中学生では上位です(※2)。これらの結果から考察すると、学校(教員)は不登校の要因を個人と家庭環境に求めがちという1950年当時の見方から脱していないのではないか、と思われます。「親の育て方の問題です」と学校やカウンセラーから指摘され、「不登校親の会」に泣きながら駆け込む母親は現在でもまれではありません。しかしながら、2020年度の文科省調査(2021年発表)では、初めて子ども対象の質問を行い、不登校の背景への考察が以前より多様化し、深まっている様子です。この動きには注目したいです(※3)。
 この項の最初にも書きましたが不登校になる要因は1つではなく幾つかの理由が重なっています。不安や無気力もそうなってしまう背景があるはずです。子どもによっては個人的特性の影響が大きい場合もありますが、特性に応じた教育や対応がされていれば不登校にはならないはずです。不登校になってしまった子どもたちに理由を聞いても明確に答えられないことが多いのは、その渦中では子ども自身にも分からないことが多いからです。一定の時間(時期)が過ぎて自分の不登校を客観的に振り返ることができた時に「それらしい理由のいくつか」を語ってくれる子どもや青年に私たちはたくさん出会っています。

 実例を一つ上げます。私が中学3年から高校3年まで約4年間支援を続けた男子生徒の例です。中学3年の連休明けくらいから不登校になりました。中3の時点では自分の思いや考えを言語化するのが不得意な生徒で、私の専門を生かした造形制作を伴う作業療法的なかかわりをしていました。その彼が大学1年になった時当時の話をしてくれました。原因の一つは学業不振で、特に英語が不得意であったこと。そのためしばしば放課後の補習に呼び出され、好きだった部活に参加できなくなったそうです。部活欠席を挽回するため無理をして出た試合では練習不足のためケガをして顧問に迷惑をかけた、と悔やんでいました。家庭では父親にできのいい兄と比べて批判され、体調が悪いので学校を休ませて、と頼むと父親に「仮病だろう」と言われ車で無理やり学校まで連れて行かれたとのことです。母親は父親の言うなりで味方にはなってくれなかったと。父親が熱心さのあまり、家庭での生徒の様子を逐一担任に報告していたのも辛かったそうです。

(事例は個人情報の観点から内容に支障のない範囲で改変しています)

写真2(左)木の枝人形(中学生男子数名が作成)

写真3(右)木製パズル(中学生男子と「子どもの家」スタッフの共同制作)

 

3. 家庭や保護者の悩みとは
 20年以上、不登校に関する相談を受けている立場ですが、保護者の悩みは基本的には変わっていません。いくつか例を挙げると
・不登校になってしまうとまともな未来がない。
・上級学校に行けない、就職もできないかもしれない。
・学業が遅れ学力が低下する。 
・社会性が育たない。 
・不登校に対して夫婦の認識、対応が一致せず家庭不和になる。
・子どもに対する声掛け、対応に苦慮する。
・昼夜逆転でゲームばかりしている。注意するとキレる。 
など未来に対する不安と現在の状況への対応の困難さです。個人相談や親の会で伝えていることは、不登校の解決には一定の時間がかかること、原因探しをするよりも現状を受け止め、子どもの不安や緊張に寄り添う関わりをすること、家庭の中で無理なくできる役割を考え家庭での居場所を作ること、家庭内外で体験の幅を広げることなど、それぞれの子どもの特徴や状況を見ながら助言しています。将来への不安については進路ガイダンスを開き、具体的な対応方法があることを伝えています。
 不登校を体験した保護者からは「不登校は親にとっても子どもにとっても得難い経験だった」「子どもや教育に対する見方が変わった」などの声を聴きます。不登校の子ども達が、不登校の時期を苦痛な時期としてではなく、新たな自分を発見できる豊かな時期として過ごしてくれることを願ってやみません。

 

※写真は全て、不登校の子どもの居場所「子どもの家」での創作物です


参考文献
(※1)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査. 文部科学省. 2011-2020. https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm(2021.11.1参考)
(※2)不登校新聞. 2019. https://futoko.publishers.fm/article/20440/(2021.11.1参考)
(※3)その他、不登校実態調査 参考文献
・文部科学省. 2021. 不登校に関する調査研究協力者会議(第1回)配付資料 資料2(概要)不登校児童生徒の実態調査結果
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/168/siryo/1422639_00004.htm(2021.11.1参考)
・未来地図. 2021. 不登校を考えるアンケート(保護者向け)結果報告
https://miraitizu.com/18369(2021.11.1参考)
・成重竜一郎. 2021. 不登校に陥る子どもたち. 合同出版
・小野村哲. 2020. つくば市における不登校~急増の実態と推測される原因~. つくば市民白書2020
・穂積妙子. 2020. 不登校相談から見るつくば市(周辺含む)の不登校像と課題. つくば市民白書2020
・日本財団. 2018. 不登校傾向にある子どもの実態調査
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/01/new_inf_201811212_01.pdf(2021.11.1参考)

 

 

穂積 妙子(ほづみ たえこ)

1948年 三重県生まれ。お茶の水女子大学人間文化研究科 発達社会科学専攻前期博士課程修了。社会科学修士。臨床発達心理士・つくば子どもと教育相談センター代表。つくば市公設民営フリースクール「むすびつくば」運営協議会委員・相談員、つくば市社会福祉協議会子育て相談員としても子どもに関わっている。

 

不登校を考える〜第3の居場所の現場から〜

子どもがイキイキ生きる居場所とは

|子どもの居場所|創造表現活動|子どもが育つまちづくり|

アトリエ自遊楽校 新田新一郎


仙台のアトリエ自遊楽校は、週に1回(月4回)子どもたちが「自分をつくる」創造表現活動空間です。2歳からかかわると小学6年生まで10年間、卒業後大学生になってボランティアとしてかかわったり、その後、親になって自分の子どもを連れてきてくれたり、子育て相談の場にもなっているなど、「新しい地域コミュニティ」になりつつあるこの場所から不登校を考えてみました。

私は宮城県仙台市でいわゆる「第3の居場所」といわれる「アトリエ自遊楽校」(2歳〜小学6年生まで310名が在籍)という創造表現活動の場を開設しています。昨年まで宮城県が不登校者数4年連続最多であり、仙台市は3項目(不登校・いじめ・暴力行為)で20政令都市の中でワースト3に入っていることもあり、アトリエの中にも学校で苦戦している子どもがたくさんいます。
アトリエでは「遊び」と「美術」が合体した「あそびじゅつ」というコンセプトで創作し表現する活動を行なっています。「図工」は教科書がありますが、「美術」の答えは一人ひとりの中にあると考えています。「美術する」とは、他の人の真似をしないということ。そして自分の内面を見つめ、たった1人の「自分をつくる」こと。そのことが、不登校で苦しんでいる子ども達の救いになっていると考えます。また創作活動は、失敗の連続だったりします。困難に立ち向かう力、ここに不登校問題の解決策とは言いませんが、ヒントがあるような気がしてなりません。
ナナメの関係である私たちスタッフは「〇〇先生」と呼ばれず、「ニックネーム」で呼ばれます。アトリエでは「先生」という存在はいないのです。学校(スクール)の語源は「スコレ」。「余暇」とか「楽しみ」という意味です。そう、アトリエは「楽校」、不登校とされる子どもたちが、イキイキと活動しています。アトリエは不登校児のためのフリースクール的な存在ではないのですが、昨年12月から「アトリエ登校」する子どもが1人出てきました。


A君(5年生)は、朝来るなりうちのスタッフにお茶を入れてくれたり、アトリエの幼児クラスのお手伝いをしたりの日々を過ごすのですが、そこでうちのスタッフから「ありがとう」、「たすかったよ」、「すごいねえ」の言葉をたくさんかけられることになりました。読書の時間もたくさん取りました。半年で20冊も読み終えた今年の7月、突然国語のテスト100点をとって褒められ、そのことで自信がつき、それ以来学校に通い出したという経過をたどりました。もちろん不登校の最終的な解決策は学校に通い始めることではありませんが、彼が自分から進んで学校に向かうきっかけになったことは明らかです。不登校問題は学校の教員だけでは解決が難しく、私たちのような第3の居場所との連携を図ることが大変重要になると考えます。

 

 

 

新田新一郎 (にった しんいちろう)

アトリエ自遊楽校主宰・プランニング開代表取締役、こども環境学会代議員、東北学院大学非常勤講師。教育・子ども文化・まちづくりなどをテーマに 「地域の感動をプロデュース」している。仙台子どもセンターの基本構想、子どもミュージカルの プロデュースなど「子どもが育つまちづくり」、 「子どもの参画」を柱としたまちづくり事業を展開している。

URL http://p-kai.com

アートと創造性があふれるこどもの日常

子どもの生きる力を育てる大人の関わり方

|創造性|生きる力|チルドレンズミュージアム|

 

篠山チルドレンズミュージアム 館長 垣内敬造

  高学年になるにつれ、アート(芸術)が苦手という子が多くなるようです※1。原因のひとつに、生活にどう役立つのか分からないということがあるのかもしれません。アートは創造的な行為だとも思われています。では、創造性ってなんでしょうか?日常生活や子どもたちの成長にどのように役立つのでしょうか?

 兵庫県丹波篠山市にある篠山チルドレンズミュージアム(ちるみゅー)は、里山に囲まれた元中学校の木造校舎を利活用して2001年の夏休みにオープンした、子どもと子どもの心を持つ大人のためのミュージアムです。旧校舎にはハンズオンで子ども文化を紹介する展示室や、教室全体が木のおもちゃになった部屋などがあります。増築したワークショップ棟では、木工や自然を楽しむワークショップや、地域の食材をかまどで調理するワークショップなどの体験プログラムがあり、「子どもたちの創造性と生きる力を育む」ことを目標に、ちょうど20年前に作られました。

 1996年文部省(現文部科学省)の諮問に対する中教審答申※2の中に「生きる力」への言及があり、これを受けて2002年以降実施の学習指導要領で「総合的な学習の時間」が創設されました。「ああ、あの頃か」と思われる教育関係者も多いことでしょう。これからの社会を生きる子どもたちには、「自ら課題を見つけ、学び、考え、主体的に判断し、行動し、課題を解決する能力および、協調し思いやる心や感動する心などの豊かな人間性が必要」とされ、これを「生きる力」と呼びました。コンセプトはその影響を受けていますが、ちるみゅーは市の教育委員会ではなく首長部局(当時の政策部)が開設し、現在も企画総務部・創造都市課が所轄していて、教育だけでなく地域活性化というミッションも背負っています。

 ぼくは設立当初からボランティアとして関わりはじめ、2013年度から館長として運営に携わっている民間人です(2008年度から指定管理者制度を導入)。ちるみゅーは、上記のように地域のための博物館という成り立ちから、設立以来多くの市民ボランティアに支えられてきました。創造性と生きる力を持つ子を育むことは、地域の願いでもあると思っています。

 校庭だった場所には芝生が植えられ、わざと凸凹をつけたり小高い丘も作られています。ちるみゅーの芝生広場には、ブランコや滑り台といった“よくある遊具”は置いてないので、来館者から置いて欲しいと請われることもあります。でも大人の方々にはもう少し我慢して、子どもたちの遊び方を見てほしいと思っています。

 ある日、ちるみゅーで子どもたちが、「ブランコはないの?」といい出しました。「なければ作ればいいじゃん」ということで、子どもたちが木の枝にロープを吊って自作することになりました。このとき大人のファシリテーターたちは、子どもたちの発想に寄り添ってロープを準備したり、背が届かなければ手伝ったり、危険がないよう見守るだけでした。
 だんだんブランコの完成が近づくと、ある子は「宣伝しないとみんな遊んでくれないのでは?」といって宣伝ポスターを描き始めました。また、ある子は「たくさん集まり過ぎたら、順番に並ばせる役がいるから私がやる」とか、「私は後ろから押してあげる役」など自分から言い出しました。子どもたちだけでどんどん役割分担を決めていったのです。そこで子どもたちが作ったのは、ただの“ブランコ”ではなく“ブランコ遊び”という社会性のある遊び方の創造だと気付きました。

 この創造力こそ子どもたちに身に付けてほしい力だし、次回からも遊びを創り出してほしいと思ったので、子どもたちが帰ったあと手作りブランコは片付けました。滑り台の場合も丘にブルーシートを敷いて作ったりしますが、終わったら片付けます。

 ムッシュ香月さんは、子どもがやろうとする前に大人が指導しすぎると指摘されています。ちるみゅーでのムッシュ香月さんのアートワークショップは、とにかく子どもの自発性を大切にし、ある種のハプニングを期待するものでした。非日常的なハプニングが起こると、子どもたちは“ゾーン”に入りどんどん集中力が高まるのを感じます。

 ベルリン在住で遊具デザイナーでもある桂川茜さんは、遊具をデザインするとき子どもの参画をとても重要視されています。子どもの参画による発想の転換は大人にとっても驚きである一方、子どもたちの自己肯定感が強まり、生き方に変革が起こっていると思います。遊具を設計するところから教育が始まっているところにドイツの文化度の高さを感じます。

 創造性を、革新的で今まで見たことのないオリジナリティのあるもの、というように構えて捉えると、凡人には生み出せない作品のような“すごい”もの(こと)を思い浮かべます。でも、ちょっと待ってじっくり日常の遊びを見ていると、子どもの生き方に日々イノベーションが起きていることに気付きます。生き方が変わるなんて“すごい”創造性!子どもたちの日常にはアートと創造性が充満しているんですね。


注:
※1末永幸歩著,『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』, 2020年ダイヤモンド社
※2文部省 審議会答申等 (21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申),1996年)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuuou/toushin/960701.htm


 

垣内敬造 (かきうちけいぞう)

大阪芸術大学大学院博士後期過程単位取得退学。1984 年よりグラフィックデザイナーとして活動。篠山チルドレンズミュージアム館長。兵庫教育大学 教員養成・研修高度化センター教授。丹波篠山市教育委員。垣内敬造事務所アートディレクター。

 

大人は透明人間

子どもの世界は沼地だ。一度入るとおもしろ過ぎて抜け出せない。

|やりたい気持ちが原動力|溶解体験|予想外から生まれる世界|

 

四條畷学園短期大学 ムッシュ香月(香月 欣浩)

  私が子どもの世界に入って28年が経過した。いればいるほど居心地がよく、奥深く面白いこの世界に、ますます引き込まれていく。
 そして気が付くと私は我を忘れ、子どもたちと遊んでいる。“自分が溶けていく”そんな感覚だ。子どもたちも私と同じように、色々なことに夢中になり、自分と「もの・ひと・こと」との境目が分からなくなる「溶解体験」を日々送っていると思われる。

 私たち大人も周りが目に入らなくなり、あっという間に時間が経過していく経験がきっとあるはずだ。世界と自分が一体化する瞬間だ。そんな環境や時間を私は子どもたちに「与えている」のではなく、「子どもたちと一緒に楽しんでいる」。

 例えばアトリエの真ん中で水をまき散らしている子どもがいる。

 絵の具のついた筆を天井に向かって振っている子どもがいる。いたずらではない。表情は大まじめで、眼差しは鋭く本気だ。「どうなるんだろう?やってみたい!知りたい!」これが子どもたちの原動力となって、行動に火をつける。子どもは大人の様に後先を考えない。いやそもそも「後先」が分からない、知らないから「やってみたい!」のだ。

 そんな子どもたちと一緒に活動をしているとワクワクする。子どもにとって、生まれて初めての経験、挑戦、発見、驚きの場面に立ち会える。最高なポジションだ。
 私は子どもたちに助言をしない。先回りをせず子どもの後ろから子どもと同じ方向を笑顔で見ている。自分を認めてくれる、応援してくれる大人が側にいる。それだけでいいと考えている。ひょっとすると子どもたちは私のことを「大人」ではなく「仲間」と思っているのかもしれない。そうならば最高にハッピーだ。

 ここに紹介する写真のほとんどは、子どもたちがたくさんの材料(紙、板、プラスティック、土、絵の具など)や道具(スプレー、釘、スポンジ、コーヒードリップなど)の中から自分で選び組み合わせて活動を行なっているものだ。

 天井から吊るしたトイレットペーパーに、スプレーで絵の具を吹き付けていた子がいた。大量に絵の具をかけるので、色水は流れ落ち床にどんどんたまっていく。池になり、湖になり、海となっていった。子どもの興味はトイレットペーパーから、床にたまった色水に移っていく。色水におもちゃを浸して持ち上げる。子どもの表情が一変した。「ムッシュ!見て見て!!」子どもが見せてくれたドーナツ状のおもちゃを見ると、穴の部分に色水の膜が張っていた。そして膜の中で色水の模様が流動しているのだ。それは見たことのない“美”の世界、発見であった。

 もし私が床に大量に溢れた色水を雑巾で拭くように助言していたら、子どもも、私もこの発見、感動を失っていただろう。「発見は想像もしていない○○から生まれる」常識だけで活動を行なっていたら世界が狭くなってしまう。
 これからも子どもたちが見たことのない世界を発見していくために、私は透明人間に徹していこうと考えている。そして子どもと一緒に冒険、挑戦をして「新しい世界」の扉を一生開き続けていく。


 

ムッシュ香月(香月 欣浩)(むっしゅかつき)

2014年NHK Eテレ「いないいないばあっ!」造形指導

小学校美術専科教諭を経て、現在は四條畷学園短期大学保育学科 准教授・キッズアート研究所代表

 

 

子どもの声を聴く社会を築くために

子どもアドボケイトを知っていますか

|子どもアドボカシー|子どもコミッショナー|子どもの権利| 意思表明権|

子どもアドボカシーセンターNAGOYA代表理事
奥田陸子

子ども・若者の声が社会を変える
子どもの言葉や行動にハッとさせられたことのある大人は多いと思う。そう、子どもは大人が忘れてしまったような新鮮なものの見方、発想力の持ち主なのだ。その子どもらしい発想力が引き出せれば、大人も幸せになり、社会は変わるだろう。

コロナウイルスの蔓延に伴い、世界中が大騒動しているが、これを機に、子どもたちも変わってきている。自分の頭で考え、自分の言葉で意見が言える子どもたちは、大人に向かい合って自分たちの考えを言葉にし、それを通して、よりよい未来をつくることをあきらめがちな大人たちに、「そんなことはない」、「社会は変えることができるんだ」というお手本を、あちこちで示し始めている。

東京都板橋区の小学生チーム「ザ・レッドムーン」が「サッカーできる場所がなくて困っています」と区長に陳情した結果、区議会で慎重に協議され、子どもたちの願いが一部採択されたという事例をWEBで読んだ。兵庫県南あわじ市の神代小学校では、市が決めた運動会中止の理由を理解はしながらも、例年通りの運動会はできなくても工夫して自分たち流のやり方で運動会を実施したいと、大人を説得して、やりたいことを成し遂げたという事例も、テレビで見た。これらの事例はほんの氷山の一角に過ぎないことは想像に難くない。NHKのテレビ番組で紹介されたZ世代(ゼット世代)注1)も、どちらかというと並みの子どもからはみ出した子どもや若者がITを駆使して世界中に仲間を増やしていった事例であった。
もう20年も前に私が関わって日本に紹介した『子どもの参画―コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』注2)にも、大人といっしょに子どもや若者が社会を変えていった海外の事例が紹介されているが、それらに匹敵するような事例が日本にも広がりつつあることをうれしく思っている。

子どもの意見表明権行使を助ける「子どもアドボカシー」制度
一方で、いじめや虐待、貧困、親の病気などで苦しんでいる子どもたちも少なからずいるが、その子たちは自分の気持ちを声に出せない、意見を表現する言葉も持たないことが多い。そういう子どもたちが、誰かの助けを受けることで自分の気持ちや意見が表現できるようになれば、その子たちが抱えているいじめや虐待その他の問題の解決にどれだけ貢献でき、前向きな明るい社会を実現できるか、想像するだけで気持ちが明るくなる。
日本の政治の世界でも、動きが出始めた。塩崎元厚生労働大臣が声をかけて、「子ども基本法」の試案、立法化に向けて議員たちの勉強会が開かれたと聞く。議員さんたちが子どもの福祉ばかりでなく教育の分野でも現状や子どもたちの実態を知り、対策や制度改革を真剣に考えてくれるようになれば、日本社会も変わることが期待できる。

すでに、福祉分野では、子どもアドボカシー制度が日本でも広がり始めた。「子どもアドボカシー」とは、

1)子どもがその時に言いたいこと(願い)や気持ちを、誰かが大きな声でわかりやすく(マイクになったつもりで)人に伝えること

2)子どもが自分の声で言える時は、それを励まして、できるだけ子ども自身の声で人に伝えるように支援すること

3)子どもの生活や将来に影響が及ぶ大事なことを、大人たちが決めようとしている場で子どもが声をあげられない場合、大人が子どもの代理者(アドボケイト)になってその子どもの意見を人(おとな)に伝える人およびその行為

などを指す。声に出す場合だけでなく書類に書きこむ場合もこれに準ずる。

子どもの権利を守り進めるために
私は、ここで、英国の子どもコミッショナーのこともお伝えしたい。これは、子どもの権利条約を批准した英国の機関であり、国内の子どもの権利の実情を把握し、調査し、それを全国の人に知らせると同時に、子どもの権利実現をさらに進めるための政策提言を行う役割を担う。私はこの英国子どもコミッショナーのことを設立当初からずっと注目してきた。英国では、この「子どもコミッショナー」と「子どもアドボケイト」が車の両輪として機能していることを見てきた。願わくは、日本も子どもの権利を守り進めるために英国のような進め方を取ってほしい。

 

注1 NHKテレビ番組「Zの選択」HPによると、Z世代とは、現在25歳以下(1995年以降生まれ)のジェネレーションのことで、物心つく頃からデジタルもSNSも使いこなす“ソーシャルネイティブ”と呼ばれる世代を指し、新しい価値観を持つと言われている。
注2 ロジャー・ハート著『子どもの参画―コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』木下勇・田中治彦・南博文監修、IPA日本支部訳、萌文社、2000年

 



奥田陸子(おくだりくこ)
名古屋市在住。1988年から子どもの遊ぶ権利のための国際協会(IPA)の日本支部の会員として活動してきた。現在子どもアドボカシーセンターNAGOYA」代表理事。

 

子ども参画から子どもアドボカシーへ

一人ひとりの子どもの声を大切に
|子どもの権利|子ども参加|児童館|子どもアドボカシー|

こどもフォーラム代表
原 京子

 

スタートはピンポンハウスから
20年前、奥田陸子さんらが翻訳し日本に紹介したロジャー・ハート著『子どもの参画』1)を読んで衝撃を受けた人は少なくないだろう。私もその一人で、子どもの参画を日本でも実現しようと2001年にNPOを立ち上げた。当時は「子どもの参画ってどういうことなの?」「何をするの?」と問われることも多く、ならばと、子どもの参画を実践する場として古民家を借りピンポンハウスを開設した。集まった子どもたちが中心となり、この場所をどう使うか、何をやるのか、どうやって実現するか、話し合うことからスタートした。
実践する中で気づいたことは、まずは大人が子どもの権利条約にある子どもの権利をよく理解する必要があること。そしてその場が子どもの権利を保障する場になっているかを考えること。つまり、集う場所が一人ひとりの子どもにとって安心して過ごせる場であること、子どもも大人も互いを尊重しあえる関係があること。そういう場があることで、はじめて子どもは自分の思いや考えを自由に表し、その思いを実現する力を発揮していく。大人が情報を提供することで、子どもが地域や社会の問題に関心を持ち、なんらかのアクションが生まれたりもする。大人は子どもの持つ力を信じて待つこと。これは今でも子どもたちと活動する時に大事にしている。

民間での取り組みを児童館へ
ピンポンハウスの実践を民間だけのものにしておくのではなく、公共の施設である児童館でもやってみようと、名古屋市児童館の指定管理者に応募したのは2007年のことであった。運営者となってみて、実に様々な子どもたちが一日100人以上も来訪し、児童館の受容力のすごさに驚いた。同時に、子どもが使う施設なのにイベントなどもすべて職員が決め、子どもの意見がほとんど反映されていないことにも驚いた。そこで、子どもがやりたいことを提案する企画や、大人だけの運営委員会に子どもが参加する機会を増やしていった(写真1)。

写真1 ピンポンハウスで何をやりたいか話し合う様子

子どもの権利を柱に「子ども参加」で運営する「らいつ」

名古屋での実践を踏まえ、運営に「子ども参画」を実現したのが「石巻市子どもセンターらいつ」(以下、「らいつ」)である。これは東日本大震災後、復興における「子ども参加」を目指し、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンがサポートしてきた子どもまちづくりクラブが企画・デザインした児童館である。子どもの権利を柱に子ども参加で運営される(なお、「らいつ」では「子ども参画」ではなく、「子ども参加」という表現を使っている)。
「らいつ」は「子ども参加」の仕組みを3つの段階に分けている(写真2)。

1)子ども企画:一人ひとりが個人として行うもの

2)子ども会議・子どもセンター運営会議:利用者及び利用者代表として「子ども参加」するもの

3)子どもまちづくりクラブ:市民として「子ども参加」するもの

子ども会議、運営会議とも利用運営を考える重要な役割を担っており、市民としての子ども参加に「子どもまちづくりクラブ」が位置付けられている。

震災によりさびれてしまった商店街を活性化しようと子ども視点で商店街マップを作り、ハロウィン祭りを提案したのは「子どもまちづくりクラブ」であった。今では1000人近くが参加する地域の恒例行事となっている。子ども参加や子どもの主体的活動と言えば「らいつ」と、全国の児童館から注目されている。
しかし、なかなか「子ども参加・参画」は広がっていかないのが実情である。その理由に、古い子ども観に囚われる大人の存在がある。「子どもは守ってあげなければ」とか、「子どもにはわからないので大人が決めるものだ」という保護的考え方や、指導的関わり方がまだまだ多い。子どもの主体的活動と言いながら、「参加させる」「やらせる」といった、主体的とは反対の言葉がおかしいとも思われずに使われている。

写真2 子どもたちの声が実現する生態系図(「石巻市子どもセンターらいつ」より)2)

一人ひとりの子どもの声を大切に
2016年、児童福祉法に子どもの権利条約が位置付けられ、第2条には意見表明権が記載された。しかし、児童福祉施設で働いている職員でさえ、「「子どもの権利条約に基づく」とは、何をどうすればよいの?」と戸惑っている感じがする。子どもの権利に対する理解を広げ、子どもの権利に基づいた子ども観をどう伝えるのか。一部の子どもではなくすべての子どもに参加する権利を広げていくにはどうしたらよいのか。そう考えていた時に出会ったのが「子どもアドボカシー」である。
「子どもアドボカシー」とは、子どもが話したいことを自ら話せるように支援したり、必要な場合には、子どもの思いや意見を代わって表明すること。比喩的に言えば、小さな子どもの声を大きくするマイクのような役割で、子どもの権利条約第12条の意見表明権を具現化するものとも言われる。
「子どもアドボカシー」に出会って、「子ども参加」は子ども一人ひとりの声を聴くことであると改めて確認できた。子どもの声に耳を傾けると様々なことが見えてくる。学校のこと、放課後の過ごし方、子どもの遊ぶ環境、社会の問題、政治の問題などなど。子どもの声から社会システムの問題が示唆されると言われるが、まさに今、そのことを実感している。子どもの声から見えてきた社会システムの問題を「子ども参画」で変えていく、そんなことを夢見ている。ぜひ「子どもアドボカシー」に関心を持ってほしい(写真3)。

  

写真3子どもアドボカシーを学ぶ講座

 

「石巻市子どもセンターらいつ」紹介動画もご覧ください。
https://www.facebook.com/1447043615525521/videos/1970074839889060

 

参考文献・参考ホームページ
1) ロジャー・ハート[著]、木下 勇・田中 治彦・南 博文[監修]IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)日本支部[訳]、『子どもの参画』(萌文社2000)
2) 石巻市子どもセンターらいつ、「アニュアルレポート(年間活動報告書)」(2019)
https://ishinomaki-cc.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%882019.pdf
3)堀正嗣[著]、「子どもアドボケイト養成講座 子どもの声を聴き権利を守るために」(明石書店2020)

 



原京子(はらきょうこ)
元石巻市子どもセンターらいつ施設長を経て、現在は、こどもフォーラム代表に就任。一般社団法人子どもアドボカシーセンターNAGOYA理事/事務局長としても活動中。

 

コロナ禍における子どもたちの声

今、頑張っている子どもの気持ち 聴いていますか?

 |相談|電話|悩み|チャット| 

特定非営利活動法人子ども劇場千葉県センター

チャイルドライン千葉 担当理事 中村 幸恵

  

新型コロナ感染拡大の中で、2月末より春休みも含め約3か月間の休校となり、子どもたちの日常生活は一変しました。ステイホーム、ソーシャルディスタンス、テレワーク、オンライン授業等などの言葉や行動様式も生活の一部になってきた感があります。

 チャイルドラインは1 8歳までの子どもが話せる子ども専用電話です。安心して話してもらうために

①ヒミツは守るよ

②名前は言わなくていい

③どんなことも一緒に考える

④切りたいときには電話を切っていい

 という子どもとの4つの約束があります。かけてきた子どもの心に寄り添い、その気持ちを受け止めながら共感的に聴くことを大切にしています。フリーダイヤルでかけられ、2018年からはオンラインチャットも開設しました。現在、全国68団体が連携しあい、約2000名のボランティアが話を聴く活動に参加しています。子どもたちは、いじめや友人関係、部活、勉強、進路、生き方、家族との関係、恋愛、SNS上のことなど普段の生活の中で感じた寂しさ、辛さ、悲しみ、怒り、そして楽しかったことなどをチャイルドラインで話してくれます。

 

チャイルドラインではこのコロナ禍のなかで過ごした全国の子どもの状況を「「新型コロナウイルス感染症」に関連した子どもの声」(事例とデータ速報)(2020年2月28日~4月30日まで)」としてまとめました(末尾参照*1)。一部抜粋して紹介します。事例は個人が特定できないよう編集しています。

 

◎休校要請から全国緊急事態宣言までの主な傾向

Ⅰ 《休校要請 2月28日~ 》

*休みになって将来のことを考えてしまう 

*受験前に休校になって不安になる時間が増えた

*友だちと会えなくなってしまった 

*急に卒業式で実感がわかない 

*アルバイトを休むように学校から言われている

 

Ⅱ 《休校解除方針 3月20日~ 》

*時間がたくさんあるけど何をやっていいのかわからない 

*修了式で久しぶりに学校に行ったけれど、友だちとはあまり話せなかった 

*志村けんが死んでしまった。ショック

*テレビで一日中コロナのことばかりやっている 

*進学したが、うまくやっていけるか不安

 

Ⅲ 《7都道府県緊急事態宣言 4月7日~ 》

*地域に感染者が出た 

*新学期が始まったけど学校がいつ始まるかわからないし、友だちができるか不安 

*自分は休みだけど母が仕事に出かけるので感染しないか不安 

*毎日コロナで人が死んでいて、怖くて外にでられない 

*生活のリズムが崩れてきた。ゲームばっかりしちゃう

 

Ⅳ 《全国緊急事態宣言 4月16日~ 》

*部活で大会を目指して頑張ってきたのに、なくなってしまってすごく落ち込んでいる

*また学校が休みになって外に出られなくなった。友だちができない 

*早く普通の生活に戻ってほしい。いつまでつづくのか 

*友だちと遊べないし、話せない 

*外出できないから考えることが増えた。不安で色々考えてしまう

 

Ⅴ 《その他》

〔家庭が安心ではない状況〕や〔自分自身についての不安、向き合うことによる発見など〕の内容

*親もコロナのことでイライラしてうざい 

*親がコロナのせいで仕事や生活のことを愚痴る

*親が仕事が休みで収入が減ってケンカしている 

*コロナでみんな我慢しているのに自分だけ何もせず、いいのかな? 

*暇だったから今まで見えてなかったものが見えた。お母さんの家事の大変さとか 

*突然の休校で目標を失ってしまった。勉強が手につかない。将来が不安になる

*コロナのことが不安で何もできない。なんで自分は生きているのかと思う

 

 

全体的に学校や部活に関する内容が減少し、自分自身に関する内容が増加したのが特徴です。また、この速報データからは、報道等で注目されている家庭内の虐待や貧困、自殺に関する内容について、特段、大きな変化は見られませんでした。以上、4月30日までの子どもの声と傾向になります。

 

5月後半から、「学校に行きたくない」「入学式に行っただけでクラスメイトと初めて会う」「話しかけられるか心配」「クラス替えになるので友だちができるかな」「オンライン授業では録画して何度も見直せたけど授業になるとついていけるだろうか」等、学校生活への不安を話す子どもが増えました。また、「教室では机が互い違い」「先生はすぐ離れなさいと言い友だちと近づいて話せない」と戸惑いの声もありました。

学校は再開しましたが、子どもたちはまだまだコロナ禍の中にいます。引き続き、その後の子どもの声を伝えていく予定です。発表の場をいただき、ありがとうございました。

 

 

(参照*1)特定非営利活動法人チャイルドライン支援センター「新型コロナウイルス感染症」に関連した子どもの声」(事例とデータ速報)、(https://childline.or.jp/ プレスリリ―ス:2020年5月26日、一般公表:5月27日)

 

コロナ資料

 


 

中村幸恵

 

中村 幸恵(なかむら ゆきえ)

2020年2月より、チャイルドライン支援センター理事。子ども劇場千葉県センターのチャイルドライン千葉担当理事として日々の運営やボランティア育成、社会発信活動に携わっている。

 

with コロナ時代に向けたチャレンジ 世田谷区立希望丘青少年交流センター(アップス)より

  

世田谷区立希望丘青少年交流センター長 下村 一

 

今の時代に必要なユースワークのため、できることを一歩ずつ

|オンライン|つながり|ユースワーク|

 

 

家にも学校にもないものを。

 世田谷区立希望丘青少年交流センター、愛称「アップス」は、世田谷区で3館目となる青少年交流センターとして、2019年2月1日に開館しました。最大の特徴としては構想段階から若者の声を反映してきたことで、「あり方検討委員会」「運営準備委員会」などを経て、開館後も若者が「運営委員会」のメンバーとして運営に参画しています。「家にも学校にもないものを。」という施設のキャッチコピーは若者が決めたものです。

主な対象は、中高生から20代の若者ですが、生きづらさを抱えた若者の支援として、39歳までを対象とした就労支援事業なども実施しています。

コロナ禍の状況としては、若者の居場所を確保するため、感染予防対策をしながら3月末まで通常通り運営してきましたが、4月1日から6月8日まで臨時休館となりました。

 

 多目的スペース

(写真)アップスの多目的スペース。感染予防対策としてソーシャルディスタンスがとれるように机やマットを配置。

 

若者とつながりを継続させるために

 休館が決まり、最も憂いたことは、毎日のようにアップスを訪れていた若者や、家に居場所のない若者がどこで、どのように過ごすのだろうかということでした。若者とのつながりを保つために、できることから少しずつ活動をしていきました。

 最初に取り組んだのは、アップスの近隣公園の巡回です。臨時休館の翌日から1日2~3回、時間を決めて公園の見回りをスタートしました。密にならないように注意しましたが、家に居場所がない、食事の心配をしなくてはならないなど、配慮が必要な若者と出会うと、少しホッとするとともに新たな不安が生じ、無力感を覚えることもありました。

 

 アップスでは、もともと若者への情報発信としてTwitterを活用していましたが、ユースワーカーの肉声を伝えたいと動画配信をスタートしました。当初は施設を消毒している様子に併せて応援メッセージなどを配信しましたが、臨時休館が長くなるにつれ、家でもチャレンジできる遊びの紹介や、若者の気分転換になるようなオモシロ動画などに変えていきました。

 4月14日からは「ユースワーカーと電話で話そう」と題して、直接若者の声を聴くことにトライしました。若者が電話をしてくるのかと不安でしたが、実際には1日数件ですが、連日電話がありました。会話の内容はたわいもないものでしたが、何かあれば電話できるという状況をつくれたことは良かったと思っています。

 5月11日からは、Zoomを使った「アップスオンライン」をスタート。毎日18~19時に実施。1日1~6人程度でしたが、お互いに顔を見ながらワイワイとおしゃべりを楽しみました。特にテーマも設けずにおしゃべりをしたこともありましたが、オンラインで初めてつながった若者もいたため、アイスブレイクとして簡単なレクをしながら、レクとレクの合間におしゃべりをするというスタイルで行いました。

  名刺型チラシ

公園巡回や中学校に全生徒配布をお願いした名刺型チラシ

 

 

 

 

 

 

 

つながりを力に

 アップスとしては、上記のような取り組みをしてきましたが、自分たちだけの力では、支援が必要な若者に支援を届けることができないのではないかと考え、さまざまな社会資源とつながることに活路を見出しました。

 4月18日からは「世田谷NPO地域連携会議〜コロナウィルス緊急対策会議〜」に参加。「区民版子ども・子育て会議」などでつながっていた子育て支援、貧困対策、障がい児、老人福祉、ボランティア関連などの団体メンバーと週2回、オンラインで情報共有を行いました。それぞれの分野特有の情報を得ることができ、ここから新たな取り組みも生まれました。アップスとしては、生活困窮の若者をフードパントリーにつなぐことができたり、またフードパントリーを通じて若者への情報発信ができたりと実質的な支援にもつながりました。

 また、子どもや若者に特化した情報共有の必要性を感じ、コロナ以前から実施していた児童館有志による学習会、児童館+(プラス)のプログラムの一つとしてオンライン・ミーティングを実施しました。児童館、プレーパーク、BOP、学校などの関係者などが参加し、情報共有するとともに、現在のような危機的な状況下での子どもたちの遊びや行動などについて学びの機会を設けました。

 

児童館+

Zoomで実施した子ども関連の情報交換「児童館+」

 

 区外の様子をしっかりと把握することも必要と考え、児童館のネットワークを通じて文京区青少年プラザb-lab、石巻市子どもセンターらいつ、野毛青少年交流センターとともに、「オンライン他施設合同研修」を実施。職員研修の形をとって、コロナ禍での各施設が若者とのつながりを保つためにどのような取り組みをしてきたか情報共有しました。また、調布市青少年ステーションCAPS、尼崎市立ユース交流センターを仲間に加え、オンラインプログラムの情報交換、再開するにあたっての準備などについて検討しました。

 これらのネットワークを通じた取り組みは、アップスにとっても、1人1人のスタッフにとっても貴重な情報資源となり、何か不安な気持ちを和らげ、物事をポジティブに考える活力源にもなりました。

 

施設再開後の新たなチャレンジ

 6月9日から感染予防対策をしっかりととった上で施設を再開させ、少しずつではありますが日常が戻りつつあります。利用ルールも少しずつ緩和し、現在では制限はありますが地域体育館でのスポーツプログラム、音楽スタジオの利用などもできるようになってきました。ただし、コロナ以前の日常に戻すことは困難であり、この臨時休館の間に培ったオンラインのノウハウなども生かして、今後のユースワークをしていきたいと考えています。

 6月21日にはネットワークとオンラインのノウハウを生かして、文京区と石巻市と距離を超えて若者同士の交流も始まりました。また、フランスの中高生との交流もスタートさせる予定です。若者がつながりを生かしてどんな活動を生み出していくのか、見守っていきたいと考えています。

 

作戦カイギ

若者同士の交流を図った「作戦カイギ」

 

 

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下村 一下村 一(しもむら はじめ)

世田谷区立希望丘青少年交流センターのセンター長。大学卒業後、公益財団法人児童育成協会に入職。国立総合児童センター[こどもの城]、草加市立氷川児童センターを経て現職。NPO法人プレーパークむさしの、NPO法人たねの会の理事。

《特別寄稿》新しい生活様式を画一的でなく、年齢層毎の行動指針を

― 休園、休校を早急に解除すべき ―

こども環境学会代表理事
東京工業大学名誉教授
仙田 満

※賛同署名実施中

 

年齢層ごとの行動ガイドラインを作ろう
|こどもの安心|アタッチメント|新しい生活様式|

 

 コロナウィルスの問題は命か経済かという二者選択の議論が多くなされているが、こどもという重要な視点を忘れてはならない。教育や成育が脅かされている休校、休園を早急に解除すべきである。こどもの1日、1週間、1ヶ月、1年は大人のそれとは重さが異なる。福島原発事故の影響を見れば理解できるだろう。

 こどもの成長において密接は重要である。こどもは触れ合うことによって成長していく。体を接触させることによりさまざまな感覚を発達させていく。多くのスポーツも体を触れ、ぶつけ合う。こどもにとってあそびは「まなび」なのだ。人間のさまざまな力はこども時代に育まれる。その機会を奪わないで欲しい。

 コロナウィルス感染症は高齢者が重症化しやすいと言われている。従って高齢者が感染のリスクを避けるために、隔離され、非接触型の生活を余儀なくされてもやむを得ない。大人が非接触型の生活をするのも致し方ない。

 しかし、こどもの重症化率は低いと言われている。確かにこどもが亡くなった例もテレビで紹介された。しかし、こどもの感染率も死亡率も圧倒的に低い。こどもは保育園、幼稚園、学校で一緒にあそび、まなび、接触を通して成育して行く必要がある。

 そのため、新たな生活様式という画一的なものではなく、小さなこども、学童、青年というようにそれぞれの年齢層に合わせた生活様式のガイドラインを示すべきと思われる。

 マスクをする、手を洗うことはやらなければならないが、社会的距離の確保は小さなこどもに関しては再考すべきだ。保育園でこどもが2mの間隔をあけて行動している映像が報道されているが、とても違和感を覚える。人間は動物である。かつて動物学者H・ヘディガーによって人間と距離について、個体距離と社会距離という2つの概念が示された。個体距離とは個体としての生物が自己と他者を分けるバランスの良い距離である。社会距離とは群として動物が社会を形成する距離をいう。それをエドワード・ホールが「かくれた次元」という本の中で人間に応用した。人と人との適切な距離は男と女、また人種や文化によっても異なると言われている。「社会的距離(ソーシャルディスタンス)」が今回重要だと指摘されている。これは患者の飛沫に影響を受けない距離という意味で使われているので、社会的距離と名付けられているが、これはH・ヘディガーやその距離を人間に応用したエドワード・ホールの個体距離の概念に近いと思われる。

 問題はこどもにとって個体距離ゼロ(密接距離)の中でこそ安心・安全を感じることができるということである。ジョン・ボウルビーのアタッチメント(愛着)理論に示されるように、こども達は触れる、触れられる、いだかれる事によって安心を得て、外界へ挑戦できる。そして成長して行く。

 そのような親密な関係をコロナウィルスの影響で悪いものだという意識を植え付けられてしまうことがとても心配だ。もともと距離とは人間関係と密接に結びつけられる。親しい関係は近しい関係といい、疎な関係は遠い関係という。今回の問題はコロナ対策のための一時的なライフスタイルといえるかもしれない。しかし2年も3年も続くとも言われており、それがこども達にとって習慣化してしまう事が心配だ。こどもたちにそれが刷り込まれないようにすることはとても重要である。

 小さなこどもほど密接、親密が必要なのだ。こどもの成長のためにも、コロナウィルス対策が長期化すればするほど、年齢層別の行動ガイドラインをつくり、こども達が群れて、体をぶつけあってあそべるように、休園・休校はすみやかに全て解除すべきと思われる。

 

「小児COVID-19症例は無症状〜軽症が多く、死亡例は少ない」

日本医師会COVID-19有識者会議「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」より

https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/1235?fbclid=IwAR2xm4i-OUIcZ-8DpoW_Csm5ehMGJ4OhaNP_3nJg42DqZsyyLeWHUXZTB0Q  2020/5/25閲覧

 


 

 

仙田満(せんだみつる)

環境建築家。東京工業大学名誉教授、こども環境学会代表理事。日本建築学会会長、日本建築家協会会長、こども環境学会会長、日本学術会議会員などを歴任。長年、こどもの成育環境のデザインを中心とした研究、設計に携わり、愛知県児童総合センター、富山県こどもみらい館、広島市民球場、国際教養大学中島記念図書館などを設計。著書に『こどもとあそび』(岩波書店)、『こどものあそび環境』(筑摩書房・鹿島出版会)、『こどもの庭』(世界文化社)、『人が集まる建築』(講談社現代新書)、『子どもを育む環境 蝕む環境』(朝日新聞出版) 等。

 

 

 

《特集》新しい感染症(新興感染症)がこどもに与える影響について

いつの時代もこどもにとって感染症は怖いものだった
|感染症|ワクチン|休校措置|

国立成育医療研究センター理事長 五十嵐 隆

 

 

 新興感染症とは?

 新興感染症(表1参照)とは最近になって新しく認知され、局地的あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症を言います註1)。人の行動範囲が広まることで野生動物と人との接触が増えたため、それまで野生動物間でのみ感染していた病原体が人にも感染するようになったこと(動物由来感染症)、交通機関の発達で人の移動が以前よりも簡単かつ広範囲になったことなどが流行の原因と考えられています。

 

こどもは感染症にかかりやすい

 こどもは、様々な病原体(細菌、ウイルスなど)に対する免疫・抵抗力が健康な成人と違って未熟なため、病原体に接触すると成人よりも感染しやすいです。そこで、予防可能な感染症は予防接種(ワクチン)をこどもの成長過程に合わせて積極的に実施することが国際的な基本になっています。しかしながら、地球上に存在するすべての病原体に対するワクチンを準備することは不可能です。麻疹(はしか)、水痘(水疱瘡)、破傷風などの、一定以上の数の患者がいて、罹患すると死亡したり、重篤な後遺症を呈したりする(さらに費用対効果もある)病原体にのみワクチンが作られています。 

 ワクチンにもいろいろな種類があります。ただし、麻疹やムンプス(おたふく風邪)など、ほぼ1回のワクチン接種で病原体あるいはその一部に対する抗体ができ、感染を予防できるものと、ジフテリア、百日咳、破傷風、B型肝炎ウイルスなど複数回のワクチン接種を行うことで抗体がようやくできるものがあります。前者は生ワクチン、後者は不活化ワクチンと呼ばれます。ただし、生ワクチンであってもその効果が数年しか持続しないものもあり、その場合にはある程度の期間が経過したらワクチン接種を再度受けることが必要です。さらに、インフルエンザウイルスなどのようにウイルス自身の遺伝子が変化し新しいタイプが流行する場合は、ワクチンも作り変えて毎年接種しないといけないものもあります。

 

こどもの感染症の感染経路

 こどもも成人も病原体が同じなら感染経路も基本的には同じです。ただし、乳幼児は保護者や保育者との接触が非常に近いことが特徴です。また、学童や中高生も学校などで集団生活をする事が多く、さらに、遊びなどを通してこども同士の接触が成人よりも濃厚です。そのため、人から人への感染がこどもでは成人よりも多いことが特徴です。また、こどもの流涙、鼻汁、排泄物などを介して、こども同士あるいはこどもから保護者や保育者に病原体が移される(感染させる)リスクも高くなります。

 

こどもにとっての新型コロナ感染症

 新型コロナウイルスは季節性インフルエンザウイルスよりも感染力が強いと言われています。これまでこどもは感染しないとする報告もありましたが、こどもも成人と同様に感染を受ける事が明らかになっています。しかしながら、成人に比較して肺炎などの重篤な呼吸器障害を呈することが少ない事は現時点でも事実のようです。有効な治療薬や予防可能なワクチンがない現在、こどもも手洗いとうがいの励行、「三つの密」を避ける行動を取る事が必要です。マスクの使用については、科学的エビデンスは余り多くはありませんが、使用することが勧められています。

 現時点(2020年7月)で本症が収束する時期は予測できません。生活制限が長期化することで、こどもの心身に大きな影響が出ることが危惧されています。

 

表1 新興感染症一覧

―――――――――――――――――――――――――――

·         重症急性呼吸器症候群 (SARS)

·         新型インフルエンザ (2009年パンデミック:現在は除外)

·         鳥インフルエンザ

·         ウエストナイル熱

·         エボラ出血熱

·         クリプトスポリジウム症

·         クリミア・コンゴ出血熱

·         後天性免疫不全症候群(HIV)

·         重症熱性血小板減少症候群(SFTS)註2)

·         腸管出血性大腸菌感染症

·         ニパウイルス感染症

·         日本紅斑熱

·         バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)感染症

·         マールブルグ病

·         ラッサ熱

·         新型コロナウイルス感染症註3)

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

五十嵐隆(いがらしたかし)

1978年東京大学医学部医学科卒業。同小児科、遠州総合病院小児科、清瀬小児病院腎内科、Harvard大学Boston小児病院を経て、1992年東京大学医学部附属病院分院小児科講師、2000年より東京大学大学院医学系研究科小児科教授。2003年から2006年、2007年から2011年まで副院長。2011年より2012年まで東京大学教育研究評議員。2012年より国立成育医療研究センター理事長。現在、日本こども環境学会会長、日本保育協会理事、東京大学医師会監事、日本学術会議連携会員、ベネッセこども基金理事長、ドナルド・マクドナルド・ハウス理事長、ベネッセこども基金理事長を兼務。

 

 

 

 

(さらに詳しい情報)

註1)新型インフルエンザ(2009年パンデミック)

 2009年4月にメキシコ、米国を発端にブタ由来のH1N1型インフルエンザA (H1N1pdm09)が発生し、世界保健機構WHOによって同年6月に新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)が宣言されました。わが国では同年5月に第一例目が発生し、2009-2010年にかけてわが国では約2,000万人を超える患者が発生しました。その後、このタイプのインフルエンザは季節性インフルエンザの原因ウイルスの一つとなって、現在に至っています(五類感染症)。

 このH1N1pdm09インフルエンザウイルスは遺伝子構造上の変化が毎年生じる従来の季節性インフルエンザウイルスの遺伝子構造上の変化よりも大きかったために、それまでの季節性インフルエンザウイルスとは全く別腫のウイルスの様な強い感染力と広がりを人に示すことになりました。

 第一次世界大戦中の1918-1920年に世界で大流行し約5億人が感染したとされるスペイン風邪(1918年パンデミック、当時のわが国では「流行性感冒」と呼ばれた)の原因ウイルスはH1N1インフルエンザAでした。当時のわが国の人口約5,500万人のうち約2,380万人が感染したと言われています。スペイン風邪は記録にある限り人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行とされます。2009年パンデミックはH1N1インフルエンザウイルスAによる2度目の世界的大流行を起こしたインフルエンザ感染症です。本ウイルスはこどもにも大人にも同じように感染します。当時のわが国ではスペイン風邪に罹患したこどもの死亡は多く、1918年のわが国の乳児死亡率が前後の年に比べて高くなっている理由がスペイン風邪のためと言われています。

 幸いなことに、現在季節性インフルエンザウイルスには抗インフルエンザ薬(オセルタミビル、ザタミビル、ラニナミビル、ベラミビルなど)があり、一定の発症予防効果と治療効果があります。また、毎年インフルエンザワクチンも作成され、広く接種されています。

 

註2)重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome; SFTS)

 本症は2011年に中国湖北省と江南省の山岳地帯で初めて報告されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいRNAウイルス(SFTSウイス)によるダニが媒介する感染症です。2012年にはわが国でも第一例が発症し、西日本を中心に85人が発症しました。そのうち、26人が死亡しています。本症は発熱,白血球減少,血小板減少症,胃腸症状を呈し、急激に重症化し、死亡率の高い疾患です。治療法は確立していませんが、ファビビラビルの効果が期待されています。このウイルスは日本全国のマダニが保有しています。本症の発症のきっかけはマダニに刺咬されることです。こどもが野山で活動することはマダニによる刺咬のリスクです。こどもの肌が露出しない服装にし、マダニ用の防虫スプレーを用いることもある程度有用です。また、血液や体液を介した人から人への感染も報告されています。本症は四類感染症に指定されています。

 

註3)新型コロナウイルス感染症

 新型コロナウイルス感染症は2019年12月に中国湖北省武漢市で初めて確認された感染症です。WHOは2020年3月に本感染症をパンデミックと表明しました。わが国では本感染症を二類感染症としています。ちなみにコロナウイルスは通常の風邪の原因となるウイルスの一つです。

 患者の年齢の中央値は50歳、男女比は1.4:1で男性に多い傾向がみられます。主な症状は、発熱(70%)、咳(44%)、咳以外の急性呼吸器症(7%)、重篤な肺炎(7%)です。わが国では、2020年3月上旬から患者が増加しています。感染源が不明な例も散発的に発生し、3月中旬からは増加しています。3月下旬には、都市部を中心にクラスター(患者間の関連が認められた集団)感染が報告され、感染者数が急増中です。

  感染を予防するために「三つの密」(密閉空間・密集場所・密接場面)を避けることと、積極的な疫学調査等によるクラスター発生の封じ込め策が取られています。さらに、日本全体に緊急事態宣言が発出され、できるだけ自宅で過ごすことが推奨されています。

 本症の感染経路は飛沫感染と接触感染で、一部の感染者(感染患者の約2割程度)は強い感染力を示します。潜伏期間は平均5日(1〜14日)で、発熱、呼吸器症状、全身倦怠感等が約1週間続きます。一部の患者は呼吸困難等を呈し、胸部X線写真、胸部CT検査で肺炎像を示します。患者の多くは軽症で済みますが、高齢者や基礎疾患等を持つ方は重篤になる可能性があります。その他、ウイルス感染が全身に及び、急性腎障害などをきたすことも知られています。新型コロナウイルスに感染すると、発熱などの症状が出る2,3日前からウイルスを近くに人に感染させうることが明らかになってきました。つまり、一見健康な無症状の感染者がいて、その方から他の人に感染させる可能性がある点が本感染症の流行を防止する上でまことに難題です。

 重篤な呼吸器障害に対しては、対症療法として酸素吸入、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)を装着します。確立した根本的な治療薬はありませんが、抗ウイルス薬のレムデシビルとファビビラビルが、気管支喘息の治療薬で肺の炎症を抑えるステロイド吸入薬であるシクレソニドが有効とする報告も見られています。新型コロナウイルスワクチンの開発も現在行進行中です。

 患者の数%が死亡するとされますが、爆発的な患者数の増加に対応できない場合は死亡率が上昇します。

 

文献

1. 賀来満夫:わが国における感染症の動向、日本医師会雑誌143:2014;s31-34.

2. 鷹野八百子:所為に感染症対策の特殊性、小児感染症対策マニュアル、五十嵐 隆監修、日本小児総合医療施設協議会症に感染管理ネットワーク編集、じほう、p2-4、 東京、2015年

3. 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況、国内の患者発生、海外の状況、その他)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00086.html)

 

 


《特集》感染症とこども環境の新しい関係に向けて: 家をあそび場にしよう

住まいをこどものあそび場とする視点を持とう
|こどもの成育環境|あそびを生み出す|居住空間|

仙田 満

 

 

こどもにとっての時間

 こどもにとっての時間は大人のそれとは異なる。こどもの1日、1か月、1年という時間における体験の量は大人とは違う。とても大事なのだ。東日本大震災時の福島では原発事故によって、数カ月間、こどもは外であそぶことができなかった。その数カ月の影響は肥満・体力低下等、さまざまな問題を興した。しかし、今回のコロナウィルス禍では、その状況はもっと深刻である。こどもが集まり一緒にあそぶことも制限されている。このような状況がいつまで続くのか見えないのが問題だが、こどもの成育に大きな影響を及ぼすことが予測される。

 

建築家から見たこどものあそび場

 長年、建築家として住宅設計にも関わっている者としては、我が国のこども、特に都市部に居住するこどもは、先進国の中で比較的狭い住まい空間で成育しているといえる。しかし、かつては家の周り、家の外には大きなあそび場があった。

 しかし、今、学校、児童館、公園でも3密が起こるとされ、集まる事が制限されている。こどもは家の中に閉じ込められていると言っても良い。在宅勤務の保護者とかなり高い人密度の中で過ごし、ストレスがたまり、虐待、いじめが起こっている家庭もあると新聞等では報じられている。

 小さな居住空間でも、そこにあそびを生みだすことはできる。ぜひこどもと一緒に考えてみて欲しい。ダンボールでも、ビニールシートでも、新聞紙でも使いながら、床、壁、天井にこどもと自由に絵を描き、貼ってみる。あるいは家具を使いながら、小さなアジトだって造ることができる。テレビゲームやスマホよりもおもしろい発見や体験が生まれる。家の中の日常的な空間を非日常的な空間に変え、運動場に、劇場に、隠れ場に、工作場にと、新たなあそびの空間づくりを考えてみてはどうだろうか。

 

空間を変える、こどもにとっての新しい力の獲得の時

 こどもも大人も家の中で過ごさねばならないこの状況を受け入れなければならない。そのためにも、自分の家、部屋そのものをもっと楽しくしていくように考え、改変したらどうだろうか。空間を変える、こどもにとっての新しい力の獲得の時でもある。こどもにとっての数カ月は人生にとって忘れられない体験の時間となる。それが有益な時間となるよう、こども自身、保護者、地域の人々すべてが成育環境全体を考えるきっかけにすべきだと思われる。特にこどもの成育環境として住まいをこどものあそび場とする視点を見直す良い機会だと思われる。


 

仙田満(せんだみつる)

環境建築家。東京工業大学名誉教授、こども環境学会代表理事。日本建築学会会長、日本建築家協会会長、こども環境学会会長、日本学術会議会員などを歴任。長年、こどもの成育環境のデザインを中心とした研究、設計に携わり、愛知県児童総合センター、富山県こどもみらい館、広島市民球場、国際教養大学、中島記念図書館などを設計。著書に『こどもとあそび』(岩波書店)、『こどものあそび環境』(筑摩書房・鹿島出版会)、『こどもの庭』(世界文化社)、『人が集まる建築』(講談社現代新書)、『子どもを育む環境 蝕む環境』(朝日新聞出版) 等。

 

 

《特集》環境問題と感染症―子育ての視線で考える-

気候変動、社会不安の中での子育てで豊かな感受性と想像力を育む

|歴史に学ぶ|茹でガエル|感受性と想像力| 

小澤 紀美子

 

警告は受け入れられたのか?

 皆さんは、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんが2019年9月23日、国連気候変動サミット(ニューヨーク)でスピーチを行い、「地球温暖化に本気で取り組んでいない」大人たちを叱責したことを記憶しておられるでしょうか。2015年COP21のパリ協定以降注1)、ベルギーをはじめ世界各地でスクール・ストライキや気候マーチが広まりました(写真)注2)

 

私たちは水と緑の惑星、地球上に生きている

 私たち人間は自然の一部で自然から多くの恵みを得て生命を維持しています。地球の表面の4分の3は水ですが、そのうちの約98%は海水で、人が使える地球上の水は0.01%しかありません。

 一方、日本の総合食料自給率は37%(カロリーベース計算)しかないのです。不足分は海外に依存していて、多くの食材が外国から輸出され、食卓に上がっているのです。今般の新型コロナウイルス感染症に関連し不足が問題化した「マスク」も海外に製造を依存しており、日本人の生活が自立していないことは明らかになりました。

 温暖化の影響を受けて主食であるコメの生産地にも影響が出ており、さらに自然災害による大雨被害が各地で発生しています。海外での森林火災の状況もテレビのニュースで目にすることが多くなってきています。海水温度の変化により毎年の漁獲量も大きく変動してきているのです。日本の降水量は1898年の統計開始以降、「年ごとの変動幅が大きくなっている」と気象庁は示しています。

 1988年に「気候変動に関する政府間パネル」(IPPC)注3)が設立され、地球環境問題の科学的評価を進め、第5次評価報告書(2013年)では人間の活動が温暖化へ及ぼす影響を95%以上と「極めて高く」「疑う余地がない」としています。具体的に環境省は「気候に対する人為的影響は、大気と海洋の温暖化、世界の水循環の変化、雪氷の減少、世界平均海面水位の上昇、及びいくつかの気候の極端現象の変化」と指摘しているのです注4)

 

豊かな感受性と想像力を育む

 日本でも極端に暑い日が増加してきており、夏になると熱中症への警告が発せられます。「茹でガエル」現象が起きていると気象学者は警告しています。カエルを水に入れて徐々に温度を上げていくと、温度の上昇を知覚できずに死んでしまうことの比喩で、ゆっくりと進行する危機や環境変化への対応の難しさを示しています。

 新型コロナ感染症で世界の経済活動が停滞し、温暖化効果ガスや大気汚染物質の排出量が急減していますが、「脱炭素社会」へ向けた持続可能な社会づくりが後回しになる不安もあります。経済停滞の長期化への懸念が大きくなってきているからです。「密」を避けるのであれば、日本全体でみると、東京や首都圏への一極集中を避け、「地方分散」による均衡ある国土の再編成も求められています参1)

 こうした状況下での子育てでは、親子一緒に心身ともに健康であること、具体的には、十分な睡眠、ゆっくりと食事を楽しみ、日本の気候風土に合った発酵食品を摂取して「免疫力」を高めることが大切です。限られた住空間の中で体と頭を使って過ごし、愛着形成を十分にしていくことも大事です。遊びや体の動かし方は、こども環境学会のHP参2)をご参照下さい。緊急事態宣言で自粛行動が求められている時期、親のストレスが子どもへ影響しますので「深く深呼吸して」冷静に子どもへ対応しましょう。幼い子どもは、見るもの、聞くもの、触るものなど「これは何?」「なぜ?」「どうして?」と「問い」を発します。こうした発問に「共感力」をもって対応し、分からないことは一緒に考えてみて下さい。さらに絵本を楽しむことも重要です。「読み聞かせ方」を変えるだけで子どもの感受性を豊かにし、想像力が活性化します参3)。こうした親子の対話が子どもの「直観力」を育み、将来的には論理的思考力の育成につながります。 

 


 

 

小澤紀美子(こざわきみこ)

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了 (建築学専攻) 後、(株) 日立製作所システム開発研究所を経て、現在、東京学芸大学名誉教授 • こども環境学会理事。日本ESD学会副会長・NPO 法人こども環境活動支援協会元代表理事。工学博士、技術士(地方および都市計画)。著書として、『キッズプレイス』 (萌文社)、『子ども・若者の参画』 (萌文社)、『まちは子どものワンダーらんど─これからの環境学習』 (風土社)、『まちワーク:地域と進める校庭&まちづくり総合学習』 (風土社)『環境教育』(金子書房)『持続可能な社会を創る環境教育論』 (東海大学出版会) など。

 

 


 

 

 

写真:毎日新聞2019年2月1日東京夕刊

 温暖化対策を求めて学校を休んでデモに参加した中高生たち=ブリュッセルで1月24日

リンク先:https://mainichi.jp/articles/20190201/dde/001/040/054000c

毎日新聞記事温暖化 NO 中高生デモ「無策 学校さぼるより悪い」

ベルギーで中高校生が週に1度学校を休み、地球温暖化対策の転換を訴えるデモを続けている。

大人たちは、未来のために立ち上がった若者の社会参加を温かく見守っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

注1)地球温暖化問題の原因となっている温室効果ガスの削減に各国が取組みの原則を定めた国際的な環境条約「気候変動に関する国際連合枠組条約」が1994年に発効しました。「COP」とは、この締約国が集まって温暖化対策を協議する会議「締約国会議Conference of the Parties」のことを指します。1997年に定められた「京都議定書」の後継になるのがパリ協定(159か国・地域が締約)です。パリ協定における発効の条件は、①55か国以上が参加すること、②世界の総排出量のうち55%以上をカバーする国が批准すること、です。

 

注2)1972年刊行の『成長の限界』の警告を受け、同年6月ストックホルムで「かけがえのない地球」をキャッチフレーズに国連人間環境会議が開催されました。同時に、国連環境計画(UNEP)が設立され、地球環境問題が国際的に討議されてきました。

成長の限界『成長の限界』(ローマクラブ報告書:1972年)は、ローマクラブの依頼によりマサチューセッツ工科大学デニス・メドウズ博士らが「人類の危機に関するプロジェクト」のための研究をシミュレーションモデル(システム・ダイナミックスの手法)によって全地球的システムをモデル化したものである。1972年に報告し、国連人間環境会議へ向けて地球環境問題への取組みへの重要性を知らせる啓発的な役割をになった。

 

 

 

 

 注3)「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」とは、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された国連の組織です。その任務は、各国の政府から推薦された科学者の参加のもと、地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた知見を政策決定者をはじめ広く一般に利用してもらうことです。最高決議機関である総会、3つの作業部会及びインベントリー・タスクフォースから構成されています。

 

注4)「IPPC第5次評価報告書の概要-統合報告書-」環境省2015年3月版

リンク先:https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_syr_overview_presentation.pdf

 

参1)地球温暖化が進むと、ヒートアイランド現象との相乗効果によって東京および首都圏での際立った高温化とそれに伴うエネルギ―需要の増大が見込まれます。「地球温暖化防止のための環境学習プログラム」全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)より

 

地球温暖化とヒートアイランド現象

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参2)こども環境学会ホームページ

リンク先:http://www.children-env.org/

 

参3)絵本の読み聞かせコーチング:景山聖子 

リンク先:https://kodomo-manabi-labo.net/series-seiko-kageyama-storytelling-11

 

新型コロナウイルスに関する呼びかけ

公益社団法人こども環境学会

新型コロナウイルス感染症流行の中で
子どもが活き活きと生きる環境を作るために

 

 新型コロナウイルス感染防止策の一環として外出自粛の日々が今後も続くことが懸念されます。
 このような状況の中で、子ども達がのびのびと暮らせない状態にあることは、とても深刻な問題です。ウイルス感染の不安と外に出られないストレスの板挟みとなっている方も多いと思います。
 こども環境学会は、様々な専門領域の研究者と実践者がともに参加する学際的研究・実践組織であり、「子どもたちが活き活きと生きられる環境を創る」ことを目指して活動しています。これまでも、災害時に被災したこどもたちの成育環境の改善や震災復興に取り組んできました。
 こども時代の「遊び」は、子どもの成長に欠かせないものです。しかしながら、外出自粛要請が続き学校や子育て支援拠点の多くが閉鎖しています。親子が長期にわたって密閉空間で過ごさねばならなくなっている今、「遊び」の大切さを共有し、子どもの心身を健やかに保つための「遊び」の情報を提供いたします。

公益社団法人こども環境学会HP
http://www.children-env.org/

<概要>
 新型コロナウイルス感染拡大防止と 子どもの心身の健康のバランス
  その1:感染から守りたい。お家で、どう過ごす? 子どもの心や体のためにできること
  その2:緊急事態宣言のなかでの子育て ~ママ・パパ・保護者へのメッセージ~
  その3:子どものこころと身体の健康のためにじょうずに日光・外気とつきあいましょう
  その4:おうちで手軽にできる遊びのレシピ
  その5:緊急事態宣言のなかでの子育て ~親子あそび~

刻々と変わる状況に応じて、内容は更新する必要があると考えています。多くの保護者や専門家の知恵と体験を活かし、より適切な情報発信となるよう更新していく予定です。

2020年5月1日

公益社団法人こども環境学会
代表理事 仙田 満
会長  五十嵐 隆

連絡先:genkiasobi@children-env.org
専用フォーム http://www.children-env.org/contact/yobikake/

こども環境学会_よびかけ_プレスリリース0501.pdf

 


  

新型コロナウイルス感染拡大防止と 子どもの心身の健康のバランス その1

感染から守りたい。お家で、どう過ごす? 子どもの心や体のためにできること

 新型コロナウィルス感染防止策の影響で、子ども達がのびのびと遊べない状態にあることは、とても深刻な問題です。ウイルス感染の不安と外に出られないストレスの板挟みとなっている方も多いと 思います。子ども時代の「遊び」は、子どもの成長に欠かせないものです。この時期、子どもの心身を健やかに保つための「遊び」の情報を 提供いたします。ご参考にしてください。

 <内容>
 1.新型コロナウイルス感染予防
 2.子どもの健康を維持する基本
   よく動き、よく食べ、よく眠る
 3.遊びのアイディア
   家での遊び編1
    ~家で遊びの環境をつくろう!~
   家での遊び編2
 4.自ら考え、行動できる子どもに
   新型コロナウイルス 子どもにどう伝える?
 5.大人も気分転換を!

  こども環境学会からの呼びかけ1-20200430.pdf

 

 


 

新型コロナウイルス感染拡大防止と 子どもの心身の健康のバランス その2

緊急事態宣言のなかでの子育て ~ママ・パパ・保護者へのメッセージ~

 乳幼児期~小学校低学年の子どもと向き合う大人の皆様、外出自粛が長引き、ストレスフルな生活になっていませんか。子育て支援の専門家、大豆生田啓友氏(玉川大学教授)による、がんばりすぎない子育てのヒントを紹介します。

 

 

 <内容>
 1.がんばりすぎないようにしよう
 2.あなた一人だけではない
 3.子どもも困っている
 4.子どもの心のケアで大切なことは?
 5.パパの出番です!
 6.イライラ解消法を持とう
 7.困った場合は相談を

  こども環境学会からの呼びかけ2-20200426-3.pdf

 

 

 

 

 


 

新型コロナウイルス感染拡大防止と 子どもの心身の健康のバランス その3

子どものこころと身体の健康のためにじょうずに日光・外気とつきあいましょう

 新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、外出自粛の必要性は周知のことです。しかし、子どもにとって外気に触れず、日光に当たらない生活が続くことは問題ではないでしょうか。日光に当たることの重要性を、国立成育医療研究センター理事長で小児科医、当学会の五十嵐隆会長がお応えします。

 

  <内容>
 1.外遊びは、必要?
 2.どうして、日光を浴びるといいの?
 3.新型コロナウイルスは、紫外線に弱い
 4.コロナウイルス感染防止対策は万全に1
 5.コロナウイルス感染防止対策は万全に2
 6.コロナウイルス感染防止対策は万全に3

  こども環境学会からの呼びかけ3-20200429.pdf

 

 

 

  


 

新型コロナウイルス感染拡大防止と 子どもの心身の健康のバランス その4

おうちで手軽にできる遊びのレシピ

 ずっと家にいると、子どもは退屈でぐずったり、きょうだいげんかしたり、ママやパパも大変です。ここでは、 乳幼児から小学校低学年児までの子どもにも 手軽にできる遊びを 、「その2 」も執筆した 大豆生田啓友氏 玉川大学教授 が 紹介します。ゲームやスマホ以外になるべく直接体験できる遊びをたくさんしたいものです。ぜひ、参考にしてください。


 

 <内容>
 1.描いたり、作ったりして遊ぼう
 2.からだを動かして遊ぼう
 3.ゲームして遊ぼう
 4.お手伝いして遊 ぼう
 5.ごっこ遊び・なりきって遊 ぼう
 6.外で遊 ぼう
 7.絵本を読んだり、作ったりして遊ぼう

  こども環境学会からの呼びかけ4-20200429.pdf

 

 

 

 


 

新型コロナウイルス感染拡大防止と 子どもの心身の健康のバランス その5

緊急事態宣言のなかでの子育て ~親子あそび~

 外出自粛の中、小さなお子さんと楽しく過ごすヒントとして、児童学の専門家、神谷明宏氏(聖徳大学准教授)が、親子遊びを紹介します。

 

 

 <内容>
 1.不安のあとに安心と喜び
   いないいない、ばあ!
 2.親子遊びの三要素
   スキンシップ・アイコンタクト
     ・声掛けを含む遊び
 3.大人の“遊び心”が大切
 4.父親との遊び

  こども環境学会からの呼びかけ5-20200430.pdf

 

 

 

 

 

 

 

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